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【対談06】『逓増定期保険について』

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逓増定期保険について

<ゲスト>
榊原 正則 『保険税務のすべて』編集長

<スピーカー>
中原 祐治 株式会社Total Life Design(トータルライフデザイン)代表取締役

対談内容

(中原)皆さまこんにちは。トータルライフデザインの中原と申します。本日は新日本保険新聞社編集長の榊原さんにお越しいただきました。榊原さんにはですね、弊社の顧問をしていただいてますので、本日はバレンタインショックで生命保険の募集がどう変わっていったのかということをテーマにいろんな質問を先生に投げかけていきたいと思います。じゃあ榊原さんよろしくお願いします。

(榊原さん)よろしくお願いします。

(中原)あの今、世の中でも返戻金がずっと低い、4年間ぐらい、3年か4年間ずっと推移して、もう一年だけ払おうとばっと掛金が、解約返戻金の率がどんどん上がってっていうそういう逓増定期を売ってるメーカーさんが結構多いと思うんですけども、そういった商品の特性を使って、低い返戻金の間は法人契約でお金を払ってもらって。

上がる直前で、解約返戻金の低い金額でその契約を個人が買い取って、個人で月払いか年払いを一回払って、返礼率がぼんっと上がったときに、解約して一時所得で取るというような、いわゆるその、法人から個人に、低税率で資産を移転させるための使い方として、販売をしている。そんな代理店の人たち結構多いと思うんですけども。僕が前職にいたときは、そういった商品が前職になかったので、そういう商品を検討してる経営者様にはこんな危ないやり方はやめたほうがいいですって、言ってた立場だったんですけど。あの立場変わってですね、そういう商品が売れるようになりましたら、いろいろ調べてみると、そこまで今まで否認された時代もなさそうだし、逆にどうやってこう否定していく、否認していくかってことも、ちょっといまいちよく分かってないところがあって。そういったところをちょっとどういうリスクがあるとかいうところを含めて、榊原先生からちょっといろいろ教えていただければと思うんですけども。いかかでしょうか。

(榊原さん)法人から個人へ名義変更っていうんで、名義変更プランとか言う名称があったりするわけですね。確かに法人の資産を個人に移転していく、というところを捉えると、なんかそれおかしくない、そこが適正に課税処理がされてないんじゃないかという意見がいろいろ出てくるところは、ありますね。ただ法人にとってみると、例えば事業承継を考えたときに、自社株の処理とかいうことの考えで、やっぱ後継者がそういう資金をないとですね事業承継がスムーズにいかないっていう中で、ニーズ的にはあるのかもしれませんね。

あるいは医療法人なんかで中に、配当ができなくて利益がたまってしまってる、現預金もたまってる、これを個人に何とか合法的に移せるものはないのかっていう中で、やっぱり名義変更プランというのに注目が集まってきたという流れはあります。これについてはもう、ここ数年の話ではなくて、もっと前から。

(中原)ずっと前からありますね。

(榊原さん)そういうのはありますよ。ただ、この名義変更プランというのは先ほどちょっとご説明があったときにどうしてるんだっていうと低解約のそういう逓増定期保険等を使いす。法人が保険に入って、保険料の一部を損金にしながら、解約返戻金が低いところで法人から個人に名義変更する。法人から個人に名義変更するときの経費処理はどういうふうに考えるのかっていったら、その段階の生命保険契約の時価でもって、法人から個人でその譲渡なりの処理をしなければいけない。

(中原)つまり時価というのは解約返戻金のことですね。

(榊原さん)解約返戻金です。これは一つの考え方です。ですから解約返戻金が低いところで、法人から個人に名義変更すれば、その解約返戻金相当額でやるんですと。でも1回保険料払うと解約返戻金がポンっと立ち上がります。個人で1回払ったところで立ち上がると、解約返戻金が高くなるんで、ここで個人が解約すると、この解約返戻金が個人が受け取ることができます。こういう話なんですね。元々はこの、ここで個人が解約したときの課税処理ってどうなるのって。これは個人契約なんで、生命保険にかかる一時金、っていうことになると、受け取る解約返戻金は個人契約を解約したときと一緒だ、これは一時所得の収入金額になります。で、一時所得ということは、税額の計算上、それを収入を得るために支出した金額を引けます。

(中原)つまり支払保険料ですね。

(榊原さん)支払保険料を引くって考え方が一般的だったわけですね。そうすると、これ最高解約返戻率で100%を超えない限り、解約返戻金より払込保険料が落ちてる。となると、差し引きマイナス、一時所得っていうのは、マイナスの場合はゼロですから、ただ、課税所得額がゼロだから、この部分については申告も納税もいらない、ってこういうスタンスですね。だから申告納税をしてなかった人たちが多かった。

(中原)その法人で支払ってた保険料も、先生がおっしゃったその支払保険料、要はマイナスに引いて申告所得がゼロっていうことをやってた人たちが多かったってわけですね。

(榊原さん)その契約に払い込まれた保険料を引くんだっていう考え方だったんで、そういうふうになったんですけれども、これについて考え方が大きく変わったところがあります。いや、そうじゃないでしょう、そのときに引けるのは個人がその一時所得の収入金額を得るために個人が負担した金額が引けるんでしょっていう風に考え方、当局は変わったって言いませんよ、元々そうだったんだって言うんだけど、それが明確に実務的に明らかにされたタイミングっていうのはあるんですね。

(中原)これはどういったことで、明らかにされたんでしたっけ。

(榊原さん)これは話すると長いですけども、養老保険の逆ハーフタックスというのがありました。福利厚生プランと受取人の形態が逆になる。満期金は個人で、死亡保険金受取人が法人っていう場合で、これそうすると満期保険金が個人にいくわけですね、満期を迎えたら。

その時に満期保険金を、から控除、これ一時所得、で控除する金額は払込保険料の総額だっていうふうにやってて、これ最高裁まで争ったわけですよね。そのときにやっぱり考え方として、いや法人、保険上の種類どうするのって問題がある。2分の1は法人が死亡保険金の受取人だから、2分の1は支払保険料で損金。残りの2分の1は満期は個人に行くんだから、この2分の1は個人に対する給与ですよね。これは原則的な考え方だ。これはどこにも書いてない、書いてないんだけども実務的にはそうだろうなってきてた結果、個人が満期保険を受け取った、保険金を受け取ったときに、払込保険料の全額を引いて計算するのがおかしいんじゃないか。2分の1しか給与課税されてないんだから。

(中原)あくまで個人で負担した部分だけは引いてもいい。

(榊原さん)取った保険料の2分の1しか引けないよねという争いが起きて、これは最高裁まで行って、納税者が負けた、ていうことがあって、ここでもって要するに一時所得の計算上控除できるのは、その個人が負担した金額だと出てきた。

(中原)なるほど、その逆ハーフタックスの最高裁の判決を受けて逓増定期の名義変更も個人の負担のとこだけ引けるっていうふうになってったって感じですね。

(榊原さん)という流れですね。もともとそうだって言うんですけどね。でも実際的にそういう取り扱いで持って、例えば、申告してなかった人に税務署からお尋ねがいったり、あるいは税務調査でもって指摘を受けて、あれ、申告漏れですよって言われたのはその辺がきっかけなんですね。それでもっていっぱい出てきました。今となってはもうそれが、それはやっぱり裁判になった、おかしいだろって裁判して争って最高裁まで行っても負けてしまったので、やっぱりそういう形で出口で個人が解約をしたときには、自分が負担した金額、名義変更時の解約返戻金相当額、これで上となり、退職時に一部として課税された、っていうんであればこれは個人が負担してもらえていいということで、その後自分が1回払ったんであれば、それを引いて残りは一時所得として申告しなきゃいけない。

(中原)マイナス50万の2分の1で所得を計算する。

(榊原さん)という形で申告をしなきゃいけないってことはもうこれ出口が明確になってしまっている。これはやらなきゃいけないんじゃないですかね、でもこれでもメリットありますよね。

(中原)ありますね。本当に最高税率でそれこそ住民税、所得税合わせて55%なってる人は結局2分の1、がきくので本当に申告しても半分の27.5%ぐらいになってるってことですよね。

(榊原さん)しかも自分が負担した金額は引ける。引いた残りの部分。

(中原)はい、今我々が現場でどういう提案をしてるかっていうと、事業承継を考えている自社株をたくさん持っているような経営者に保険入っていただいて、名義変更する、買取する人は次世代のジュニアが買い取っていただいて、名義変更するときに大きな損金も出ますので、自社株が下がった、評価が下がったときにジュニアがその解約したお金を持って自社株を買っていくみたいなことを結構提案することが多いんですね。

(榊原さん)そうだと思いますね。ただ、実は今の名義変更プランで何が問題ですかっていうと、出口は結論が出ました、1つにね。問題はここなんですね。

(中原)なぜ名義変更するのか。

(榊原さん)なぜ名義変更がするのかっていうのと、本当にその解約返戻金相当額でという評価でいいのかどうかってここの問題ですよね。これがやっぱり噂になってるというか、いやそうじゃないんじゃないのと、払った保険料の7割とかいう評価も考えられるんじゃないのっていう意見、噂がちらちら出ている。なぜかっていうと、やっぱここで非常に、これが小さいことによって、さっき言ったように効果があるっていう流れになってしまってるんですね。そうすると、だからここで法人から個人に名義変更したときに、何が個人に移るんだろうかって話ですね。確かに解約返戻金っていう一つの評価はあるけれども、それまで法人が払ってきたことの保険料はこれからもその効果として続いている部分があるでしょ。それが法人から個人に移転されたって捉えると、払ってきた保険料をベースに、何か評価をする。こういう経済的利益も移ってるという考え方もできるんじゃないかという考え方は当然誰でも思うわけです。でもそういうのが正しいならすぐ改正があって、そうやってできるはずなんですが、そうだけど今のところされてないですね、というのは何かやっぱいろいろですね、一長一短にいけないっていう部分があるのかも知れないですね。ただそこは当然疑問です。ただこれについてどうなんですかっていうと、今現時点においてそこが具体的なコースに変わるっていう流れとしても、僕は聞いてない。だからまだ検討はされてない。ただ一点、もう一つあるのはよく話題になるんですよね。今ちょっとお話になって、例えば今の商品でそれをやると、損金割合低いですからね、ほとんど資産計上になってるわけです。

でもそれをこの低い解約返戻金で評価してやると、その差額は全部ここで雑損になります。

(中原)雑損になりますね。

(榊原さん)損金になります。

(中原)資産計上を取り崩すということですね。

(榊原さん)この雑損について、これってどうなのっていう疑問はもともと法人課税課の調査官なんかの研修会の場では、これ何とかならないのかという意見が出てましたっていうのは、いろいろ資料の中に残ってる。ただ具体的にどうするのっていうことは出てきてないんで。ただこれは、時々は調査、税務調査の中でこれ否認しますよ、そういう方向でいますっていうことも話題になってですね、でも具体的にそれでもって更生受けましたっていう話はまだ僕は聞いてない、いろいろなところでお話聞いてもないっていうことはなかなかそれをやりにくいかなという状況に今はあるってことですね。

(中原)そうですね、その税制の中で考えると、その更生の判断はなかなかしにくいってことなんですかね。

(榊原さん)ということなのかなと思います。ただ、そうするとどうしたらいいですかって聞かれるんで、別に今こうだって決まってないんだから決まってるものは粛々ときちっとやりましょう。法人から個人に名義変更した時には、その時点の解約返戻金相当額の所得税共通額の36万、37万あるわけだからそれでもってやった上で解約するんであれば、出口のところはさっき言ったように、自分が負担したものを引いて一時所得の申告をちゃんとやりましょうよ、でこれだけやっておいてどうなのか。それだけやっといても何か言われることがあるので、その時の対応はしっかりと。先ほど言われたように、それじゃあ名義変更とするときの理由ってどうすんですか、これは答えがないですよね。

(中原)そうですよね。

(榊原さん)基本は一般的には個人から個人の保障として引き継いでいきたいということがあったんで、それを個人契約に変更して、移転しました、変えました。

(中原)法人から個人へその保障を引き継ぎたいからっていう理由にするっていうことですね。

(榊原さん)その解約したらどうなのって話になるんですけどね、理由としてはないんですね。だからその辺のところについては、また調査官がどういう風に考えるかっていう話になるんで、そういったことを踏まえた上で意識をしておいていい。

(中原)ありがとうございます。同じ法人から個人に名義を変えていくっていうやり方になると、医療保険、第三分野の方もこういったやり方を今、我々結構提案することが多いんですけども、先ほど先生から医療保険に関して、第三分野に関しても30万円以下は全部が損金、ただ30万以上はある一定のレベルに応じて資産計上してくれるっていうそんなルールになってると思うんですが、ただあの5年間、例えば資産計上の保険料、資産計上してって、5年目に解約返戻金がほとんどない医療保険を個人に名義変更していくとなると、解約返戻金がほとんどない商品なので、それまで積まれた資産計上が大きな雑損になって、それで5年目以降は個人では保険料を一切払わずに終身の医療を、例えばオーナーから手に入れることができる、こんな物も結構実は今、市場では売れてたわけですけど、この辺は先生どうお考えになりますか。

(榊原さん)考え方は一緒ですよね。

(中原)一緒ですかね。

(榊原さん)法人から法人に、その契約変更するときに、名義変えるとき、何で評価するの、解約返戻金所得額という、時価というとこれしかないのかもしれない。でも先ほどちょっとお話してそれで何が移ってるのって言うと、それ以降、個人にとってみれば、保険料払わなくても終身にわたる保障が得られる。その経済的利益を何か他に見積れないですかっていうと、ここにあるわけですね。法人が払ってきた保険料、これ全部やる必要はないけど、それを評価の基準として何か評価できないかっていうものは想定される。だから一緒なんですね。そこの改正点が変われば、今のルールは変わっていきますけども。そこは変わらない以上はそういう形でやるしかない。

(中原)っていう話ですね。

(榊原さん)だから結果的に大きな雑損失が発生してます、という流れになったり、別にそれを目的にしてるっていうのは、あるかもしれないんだけれども、今ある規定に適正に処理をした結果、損失が発生するという流れになってますよね。だから考え方としては、改正があるかないかって一緒ですね。

(中原)そういうことですね。はい、ありがとうございます。

(榊原さん)保障の引継ぎという流れですね。

(中原)はい、わかりました。先生ありがとうございました。

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