【対談05】『今回の税制改正で変わらなかったこと』

【対談05】『今回の税制改正で変わらなかったこと』

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今回の税制改正で変わらなかったこと

<ゲスト>
榊原 正則 『保険税務のすべて』編集長

<スピーカー>
中原 祐治 株式会社Total Life Design(トータルライフデザイン)代表取締役

対談内容

(中原)皆さまこんにちは。トータルライフデザインの中原と申します。本日は新日本保険新聞社編集長の榊原さんにお越しいただきました。榊原さんにはですね、弊社の顧問をしていただいてますので、本日はバレンタインショックで生命保険の募集がどう変わっていったのかということをテーマにいろんな質問を先生に投げかけていきたいと思います。じゃあ榊原さんよろしくお願いします。

(榊原さん)よろしくお願いします。

(中原)今回はその税制改正で、逆にこの変わらなかったこと、その法人保険販売ですね。それについてまたいろいろお伺いできればなと思うんですけども。どういったところが変わらなかったっていう印象ですかね。

(榊原さん)そうですね。一つはこれは生命保険の法人に進める上で変わらない部分ですと、基本はやっぱり保障ですよね。

(中原)そうですね。

(榊原さん)万が一の時にこんなリスクありますよね。それに対して生命保険でできるものを準備しましょう。これはもともとある本来の趣旨である。それに対して法人がどこを求められるか。先ほどちょっとお話しましたけども、いやそのリスクに対する保障を準備しておきたいっていうのはいいんだけど、やっぱ安いやつに入りたいよね。一番安いのないの?解約返戻金ないものもあります。でもそこそこ返戻率が高いやつあった方が良いよ、あるいはもうちょっと高い方がいい、でも経費処理めんどくさいの嫌だよ。めんどくさくてもいいから返戻率が高い方がいい、っていろんなニーズがあるんでそれに合わせてこの改正後の商品をどうやって選んでいくかいうことは一つアドバイスしないといけない。

(中原)そうですね。はい。

(榊原さん)だから保障がまずありきですよってのは変わってない。それはなぜかといったら他の金融商品ではできないことですよね。

(中原)そうですね。はい。

(榊原さん)生命保険でしかできないのでそこは間違えちゃいけない。

(中原)そうですね、そもそも本当に損金がいらなければ、全額資産計上の終身保険でもいいじゃないかっていうそういう話ですね。はい。

(榊原さん)あと、だから変わらなかったことが何かっていったら、冒頭にもお話したかもしれないんですけども、今回の改正というのは定期保険、第三分野保険についての改正である。養老保険、年金保険、終身保険。こういったものは変わってない。

(中原)はい、そうですね。

(榊原さん)養老保険でも一部損金になるものがありました。支払っている保険料の2分の1は損金になりますよ、っていう福利厚生プラン。法人契約の養老保険で満期保険金の受取人が法人である、死亡保険金の受取人は被保険者の遺族である。これで普遍的な加入をしてあれば支払っている保険料のの2分の1は損金になる。養老保険ですから、基本は満期になれば全部返ってくる。今だから返ってこないんですね。

(中原)そうですね。日本の円の保険だと90%ぐらいになっちゃう感じですかね。

(榊原さん)そうですね。それでも2分の1損金で90%返ってくる。それを超える分返ってくるよっていう商品が実はここにあるそれは今回改正の対象にはなりませんでした。

そこは普遍的加入という非常にシビアな要件を満たさなきゃいけないからっていうこともあって、改正対象にはならない。これは残ってます。そしてやっぱり去年の改正の実際に具体的になるまでは、こういうタイプの保険は全部売り止めになってたわけでしょ。

でも当然企業さんにおいては当時まだ利益が非常に決算が好調で利益が出てるってとこも。

だからどういう提案したらいいのってなると、この保険に集中する。

(中原)養老保険ですね。

(榊原さん)うん。しかも改正も見たら、あら定期保険だとかそれじゃ、そういうものが答えられないっていう話になって。福利厚生プランというものは非常に件数が増えた。これ今も増え続けてますよね。ただ、この福利厚生プランにどういう、養老保険でやるっていうことが基本ですけど、基本は円建ての養老保険だったわけでしょ。

(中原)そうですね。

(榊原さん)でもこういう超低金利の世界だから、先ほどお話になったように昔は養老保険っていうのは払ったら払っただけ満期になって返ってくるよ、というものだったのでそれが返ってこなくなってるという状況もある。ただそこで出てくると、円建ての養老保険を非常に売りにしてしまってる会社もあるし。ただそれは、外貨建のドル養老っていうものがあったり、あるいは変額有期というものもあります。あるいは特殊養老といったものもありますけども、そういった養老保険に準じて、養老保険として二分の一損金算入を認めますよという商品であれば、そこが使える、っていう形になって販売件数が増えてきてるっていうのは、確かなんですね。

(中原)そうですね。僕の現場の感覚、印象でも、やはり日本の養老保険が先生おっしゃるみたいに満期を迎えても、全額返ってこないという商品にほとんどの会社の商品に低金利になってしまったので、買ったけどその養老保険で損金を取りたいっていう経営者のニーズを満たすために外貨建とか変額有期の養老保険が、結構かなりそっちの割合が販売多くなっているイメージがあるんですけど、ただ世の中の経営者にとって、やはり変額のリスクであったりとか、外貨の為替のリスクっていうのは、その返戻率よりももしかしたら大きなリスクになるかもしれないっていう感覚も強くてですね。なので今我々の会社っていうのは、養老保険でも、先ほど言ったその相互保険会社が売っている養老保険は、配当金を込みの返戻金でシミュレーションが立てられる保険会社もあるので、なのでごく一部、例えば日本生命や明治安田生命のような配当率を考えると、実はその満期を迎えた時の満期保険金が払い込み保険料を超える、返戻金が100%を超えるっていうシミュレーションも立てられるような会社もあるのでですね。そういう外貨建や変額有期のリスクをちゃんと説明した上で、どっちがいいかっていうのを選んでもらうっていうのは結構大事なんじゃないかなと思うんですよね。

(榊原さん)おっしゃるように、やっぱり金利が非常に低い、それに基づいて生命保険で言うと予定利率が下がってる、で円建てでいうと非常に低いっていう状況が起きてしまってますね。

そうなるとよく保険でいうと保障があって、貯蓄機能がありますってうたうんだけど、この貯蓄機能が非常に微妙なところになってます。ですから、保険をつくる上においては、なかなか円建ててそういう商品が組みにくい。ですから体力がある会社さんからそういうのが組めます。そうなると、外貨建、あるいは変額という選択肢しかだんだん残ってきてないんです。だから今各社変額有期、変額養老っていったものの販売が増えてきているっていうのはそうせざるを得ない。ところがお客さんにとってみるといやいや外貨は嫌だよ、変額っていうとなんか嫌なイメージあるっていうおっしゃるお客様もいたりするんで、そこはお客さんがどういうふうに求められるか、きちっと説明をした上で選択していただくのが必要になってくると思いますね。

(中原)そうですね。我々の代理店の強みっていうのは、限られた商品だけではなく、いろんなメーカーから出た円建てや、変額有期、外貨建、全部ご提案できてリスクの説明もそれぞれして、お客さんに選んでいただけるっていうのは、我々の強みの一つなのかなという風には思いますね。

ちなみにその今回の税制改正を受けて、先生がまだここ伝えられてないみたいなことって、もしあれば、お答えいただきたいんですけども。

(榊原さん)そうでうね。なんかお話していてあれこれ話してなかったなってことがあったりする。一つ先ほどの一番元になった今回の改正内容。というところで、適用についてのところなんですね。今回の適用は、原則は去年の7月8日以後の新契約から新しい取り扱いをします。一部については10月8日以降の新契約から新しいルールになる。それより前に入っていた契約はどうなるのっていうここの説明が抜けていましたね。それより適用日前に入った契約については、適用日前の取り扱いがずっと継続できるんです。ということは、全額損金ですよ、返戻率は非常に高いですよっていう商品に入っておられたんであれば、このこれから以後、支払う保険料も全額損金の取り扱いが継続してできます。2分の1損金の取り扱いを継続してできるというところがあって、まぁ既契約は守られた。

(中原)なるほど、もうその決定が出るまではもうかなり保険の業界はざわついてたってイメージなんですけど。

(榊原さん)そうですね。これは改正案が出たときに、既契約は大丈夫なんだっていうことが分かって、皆さんも含めてですね、業界はほっとした。

(中原)はい。しましたね。

(榊原さん)はい。だからいろいろ改正があった後、いろんなところでお話をしたときにもですね、既契約は幸いにして残りましたから、これはちゃんと大事にしましょうよ。せっかく残ったんだから利益が出てる、で保険料を払えて、利益が出てるんなら、継続しておいて、それが必要になったときに確実に使えるようにしましょうっていうお話をしてきてたんですね。

(中原)そうですね、はい。

(榊原さん)だから既契約の取り扱いっていうことが一つ。

(中原)はい、ありがとうございます。

(榊原さん)もう一つ、実は今回の改正の中で変わったものがあるんです。それが払済保険への変更。保険料の払い込みをストップしてしまって、そのときの解約返戻金相当額でもって一時払いの保障に変えてしまうというのが払済保険なんですけども、これに関する通達取り扱いはもともとあったわけですね。そこにあったのは、基本は法人契約で、払済保険に変更したら、その時点で洗替の経営処理をしなきゃいけない。それまでの資産計上額、その時点の解約返戻金額とでこれ洗替て、差額が出るんであればそれが損金になった益金というこれが洗替経営っていうものですね。これが原則なんだけども、もともとこういう場合やらなくてもいいよっていうことが規定されてました。それは養老保険、年金保険、終身保険から同種類の保険に払済する、養老保険から養老保険、終身保険から終身保険に払済する場合には、その洗替経営処理しなくてもいいと。資産計上額をそのまま継続してもいいよという取り扱いになります。この取り扱いの趣旨っていうのは僕らの理解からすると、もともとそういう商品と法人契約、法人受け取りってことは支払保険料が全部資産に上がってる。

(中原)そうですね、はい。

(榊原さん)それはまた同じ種類の保険にやるってことはまた全額資産計上になる。資産から資産に振り返るだけならやらなくてもいいよねっていうのが趣旨だと思うんですね。

でも今回の改正でそこに保険種類が加わった。

(中原)そうですね、定期保険の一部。

(榊原さん)定期保険、第三分野保険についても、同種類の保険に払済する場合には、洗替経営処理をしなくてもいい、という風に変わりました。特に定期保険から定期保険ですね。これは取り扱いの会社さんってのは非常に少ないんですけども、それもOKだよっていう話になったんです。それを考えると先ほどの趣旨と少し違うわけですね。

(中原)うーん、そうですね。

(榊原さん)定期保険、第三分野保険っていうのは、少なくとも保険料の一部が損金になる、可能性があるわけですね。損金になってるものも同じ種類で、保険に払済にしたときに、何もしなくてもいいっていうかどうなのかって疑問があるんですけれども、今回改正で、それを認めているんですね、それについては結局、定期保険から定期保険に払済にしたときは、洗替経営処理をしなくていい。ただ定期保険ですから。ほっとけば解約返戻金は下がっていきますから、いつまでもほっとくことはしないと思う、どっかでやっぱりそれを顕在化させることってあると思うんですけども。しかも、この改正についていろいろ議論があったんですけども、これは今回の改正っていうのは、7月8日以後の新契約からその改正内容が適用できるという風になってますよね。となると、この払済における改正、定期保険から定期保険、第三分野保険から第三分野保険の同種類の払済も、それ以後の新契約を払済にしたときに、洗替をしなくてもいいっていう風にも読めてしまうけれども、

(中原)読めるってことですね。はい。

(榊原さん)でもこれ違う。これやり取りの中で適用日前の既契約である定期保険、第三分野保険、全額損金だったかもしれない、二分の一損金だったかもしれないけども、それを適用日以後に同種類の払済保険に変更しても、これは洗替経営処理は要りませんよ。そこは明確にされてる。

(中原)これは定期定期であれば、過去に遡っても、払済契約して払済しなくてもいい

(榊原さん)既契約を払済にしてもいいよ、そんときのルールに則ってやりますよってことになってるんですね。

(中原)これも結構大きな改正ですね。

(榊原さん)大きな改正ですね。だから提案の中では、いいかどうかは別にね。それで払済にすると、当然払済にした瞬間てピュッと解約返戻金が上がる、しばらく上がってから下がってくって部分もあるので、その辺を上手に組み合わせてですね、提案ができます。

節税って言ってはいけないんだけどね、仕組み的にはそういうものがありますよっていうことも一部はやっぱり販売されているんですね。

(中原)なるほど、ありがとうございます。はい。

(榊原さん)もう一つ払済についていうと、通達の中で実は括弧書きがあるんですね。その同種類のっていう中で、その特約が付加されていないものに限る、この文言は注意しなきゃいけないですね、ここがある以上、この特約っていうのは補償があるものということをイメージされてますから。リビングニーズ特約とか

(中原)あんまり関係ないですね、はい。

(榊原さん)うん。でも例えば定期保険特約だ、ガン保険特約だって、そういったものを払済にしたときは当然特約取れますから。こういったものを洗替しなければいけないと言うことになるんで、その点を注意しなければいけないということですね。

(中原)なるほど、ありがとうございます。でも、そういった細かいというか、結構大事な税制改正も、今回いろいろ起こってきたっていうことですね。

(榊原さん)そうですね。

(中原)はい。ありがとうございます。それでは次のVTRではにですね、今後予想される保険税務変更と、あるかどうかわからないんですけど、これ先生の見解をまた次回のVTRでお伺いできればなというふうに思います。ありがとうございます。

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