【対談04】『税制改正後の法人保険の販売』
税制改正後の法人保険の販売
<ゲスト>
榊原 正則 『保険税務のすべて』編集長
<スピーカー>
中原 祐治 株式会社Total Life Design(トータルライフデザイン)代表取締役
対談内容
(中原)皆さまこんにちは。トータルライフデザインの中原と申します。本日は新日本保険新聞社編集長の榊原さんにお越しいただきました。榊原さんにはですね、弊社の顧問をしていただいてますので、本日はバレンタインショックで生命保険の募集がどう変わっていったのかということをテーマにいろんな質問を先生に投げかけていきたいと思います。
榊原さんよろしくお願いします。
(榊原さん)よろしくお願いします。
(中原)税制改正後の法人保険の販売というのはどう変わっていったのかという、そのテーマにこのVTRではちょっといろいろお伺いしていきたいんですが。先生の方にどんな声がたくさん入ってますかね。
(榊原さん)それは中原さんの方が現場の方と、感覚としてはご存じだと思うんですけども。
(中原)そうですね。
(榊原さん)まず今回の改正で何か変わったのかって話です。
(中原)はい。
(榊原さん)変わったのは1点ですよね。損金割合型とか全損だとか2分の1損金って言って保険料は損金割合が高くて、返戻率が9割と非常に高い。こういった商品がなくなったわけですね。
(中原)そうですね。売れなくなったということですね。
(榊原さん)売れなくなったというのと、これはどこにもなくなったわけです。前はうちの会社にはないけどあそこの保険会社にはあるよね、ってこういう状態になったんですね。これはでもお客さんが例えば、今期も利益出るんだけどなにか前みたいな商品ないの?って聞かれたらこれはどこいってもありません、そういう改正なんですからっていう風に言っていただく。なくなったのはそこなんですね。
(中原)なるほど。
(榊原さん)そうなるとやっぱりそういう利益が出ていて決算対策でいうところには従来のような大きく損金割合が取れて、返戻率が高いっていう商品では提供できない。となると、どういう風になってるかっていうのは先ほどご説明したような改正ね。決まったもの。をどう利用していくか。そういうニーズがあるんですね。もう一つはお客様の本当のニーズ、必要はどこにあるんだろうかっていうことを考えていくことですね。いやいや、あんまり、ちょっと保険料負担を考えたくないけども、やっぱり保険で、保障を確保しておきたいよねってこういう法人のニーズもあるはずですね。
そうすると、一番コストが安く済むのは、返戻金のない商品。定期保険でもあったりするわけで。そういう風に入っていただいたら、保険料は全額損金で、しかも負担割合としては少なくて済みます。いやいや0は困るよ、やっぱり何かあった時のために少し残してあって、全額損金になるやつないのって言われたら、最高解約返戻率が50%以下の商品。
これであれば全額損金で集金ができる。まぁこれは今回の取り扱いにのっとったことですよね。
(中原)そうですよね。はい。
(榊原さん)もう一つあるのはさっき例外的に言った、最高解約返戻率が50%超70%以下の区分で、一人の被保険者について、年間の保険料は30万円以下。
(中原)はい。全額損金になる。
(榊原さん)これは全額損金になるって話ですね。30万円全額損金になって、7割返ってきたって損なんじゃないかっていう意見もありますね。
(中原)そうですね。
(榊原さん)でもその法人のニーズがどこにあるかですね。やっぱり今期に利益出るからそれを損金になるものないの、返戻率は少々我慢するからっていうことになると、その商品を使う。でも30万円損金になってもどうしようもないんで。でもこれは従業員100人います。100人全員をそのタイプの保険に入れて、法人契約、法人受け取りに契約で入れば。
(中原)3000万円ですね。
(榊原さん)3000万円。3000万円支払ってそれは全部損金になります。これは税務上ですね、利益を圧縮できますよ。というこういうスタンスは当然考えられるって話ですね。
(中原)そうですね。この今回の税制改正が起こって、法人に先生がおっしゃるみたいに高い返戻率で経費を出せるっていう商品がなくなった。税制改正でその商品が売れなくなったのは事実だと思うんですけど、世の中の中小企業の経営者で利益が出たのをなんとかこう圧縮したいっていうそのニーズがなくなったわけではないということですよね。
(榊原さん)ないですね。
(中原)そうですよね。
(榊原さん)それは国の繰り延べしないでしょという話があるんだけれども、後程またお話するかもしれないんだけども、いやいやそれでもって、中小企業の万が一のリスクに備えていたっていう側面はあって。
(中原)そうですよね。はい。
(榊原さん)節用保険、節用保険って決算対策の生命保険が何かものすごい悪いことしてるように言われて今回の改正になってきてるんだけども。個人的に言えば、いや、そんなこと言う必要はないんじゃない。それでもって、本当は助かってる企業はたくさんあったみたいね、っていうことはあるんでね。
(中原)保険なんで、もちろん、その経営者、従業員万が一あった時の保険、保障の保険と、あとは本当にキャッシュが回んなくなったときの含み益を、万が一の時に使えるってこの保険の意味もやっぱりあったんじゃないかなってそういう話ですよね。
(榊原さん)あった。キャリアの長い人も実体験としても持ってるわけですよ。お客さんの法人が今回のでね、非常に苦しくなったときに、いやいや社長、以前入っていただいた保険の契約解約返戻金これだけ貯まってますよ、これ今使っていただくときですよ。って言って、お客さんの企業が苦しいときを乗り切った、でまた成長してきたという経験をお持ちの方はいるわけですよね。
(中原)そうですよね。
(榊原さん)それが実は決算対策の生命保険、もう一つの側面であって。
(中原)そうですね。今我々は代理店として、いろんな会社の商品を扱えるようになってるんですけども、この今我々の現場ではどういう保険が支持されてるかっていうと、先ほど申し上げたみたいに中小企業の経営者は利益を繰り延べて、どっか大変なときに使いたいっていう、この含み益を作りたいっていうニーズはまだまだあるんですね。ただもう税制改正で返戻率が高い商品はほとんど損金で落ちないというふうになってしまっている世の中で、実はごく一部。例えば日本生命や明治安田生命のような総合保険会社が、配当金を、もちろん出せるかどうかは将来のことなんでわからないんですけども、出したとすると、単純返戻率で100%を超えるような商品を、85%以下の4割損金のところで結構商品を出してきてですね。弊社なんかは結構今それが主力商品で、万が一があったら経営者のSを保障をお届けできて、何もなかったら今までの貯金充填金っていったら5割損金ですよ。
今度は4割損金なんですけども、配当込みで考えると、単純返戻率が100%を超えてくると。はい。っていうような商品が結構今、我々の会社では支持を受けていて主力商品になってるんですけども。
ちょっと不思議だなと思うのが、配当金込みになると、100%を超える、いわば85%超えてくるような商品。これは今回の税制改正では、そのまま85%以下のそのパターンでOKになったんですよ。これはなんでだったんですかね。
(榊原さん)そうですね。その前に改正後の法人保険販売っていうまさにおっしゃるスタンスが一つあるわけですね。85%、最高解約返戻率で85%を超えてしまうと損金割合も下がるし、経営処理が複雑になってめんどくさいと。それだったら85%ギリギリで寸止めみたいになっていれば、保険料の処理は非常に単純で済むよね。それだったらやりたいっていうところがあって。そんな中で今おっしゃったように、それじゃあ配当がありますって有配当の保険で入っていただいたら、最高解約返戻率の計算にはその将来、受け取れるであろう配当金は考慮しなくてもいいよ。これは明確に、改正の中で言われてる。
(中原)そうですね。
(榊原さん)もう一つあるのは、その配当もそうですし、あるいは変額保険。
(中原)変額定期ですね。
(榊原さん)変額定期。要するに運用によってプラスになるかもしれません、でもマイナスになるかもしれないけど将来のことでわからない。あるいは外貨だけなんですね。外貨であるんだけどもが言うと外貨で見るとそうなんだけど、為替リスクによって為替差損が起きる可能性というふうになると、これ決まってない。契約時点において、決まってないような将来の運用効果だとかあるいは配当というものについては、最高解約返戻率の計算においては、
織り込まなくてもいい、これは明確に示されてますから、それに則ってやってるということですから、決まってはいない。
(中原)そうなんですね。
(榊原さん)そういうスタンスでもってそれを認めてくれたって形ですね。
(中原)なるほど。ただやっぱり大きく見て、この税制改正で先生が冒頭におっしゃってくれたみたいに、返戻率が高くて、損金割合が大きいっていう、いわゆる経営者の方が利益の組み立てで使いたいていう思いを、すぐ実現できるような保険っていうのは売れなくなってしまったっていう感じですかね。
(榊原さん)そうですね。だからその辺のところもいろいろな工夫があってですね。改正の中でこういった改正を認め、こういう内容を認めてくれるっていうんだからそれにのっとってやればいいという、ご提案の仕方があったりするわけですね。
(中原)そうですね。我々代理店でいろんなメーカーさんの提案を見ると、やっぱり今回の税制改正に合わせていろんな商品を工夫して出してるなっていうイメージがあるんで、僕らもその商品をちゃんと理解して、お客様にきちっと提案できるようにしていきたいなという風に思ってますね。
(榊原さん)そうですね。