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2021.09.14

公的医療保険制度の特徴をわかりやすく解説!種類や仕組み、懸念される問題点とは?

公的医療保険制度の特徴をわかりやすく解説!種類や仕組み、懸念される問題点とは?

我々が病院で診療を受ける際は、原則として医療費の負担は3割以下になり、これは「公的医療保険制度」と呼ばれる制度のおかげです。

普段の生活の中で公的医療保険制度について意識することはあまりありませんが、いざ病院で診療を受けるとなった際に「原則3割以下の負担」のありがたみを感じると、その仕組みや特徴などが気になるかもしれません。

そこで本記事では、あまり詳しく知る機会のない公的医療保険制度の仕組みや種類・特徴、懸念される問題点などについて、CFP®(ファイナンシャルプランナー) の宮川真一さん監修のもと、分かりやすく解説します。

  1. 医療保険制度とは?
  2. 日本の公的医療保険制度の特徴を解説!
  3. 対象者は全国民の「国民皆保険」
  4. 医療機関を選べるフリーアクセス
  5. 原則3割負担の安価な医療費
  6. 現物(医療サービス)給付
  7. 公的医療保険制度の種類
  8. 被用者保険
  9. 国民健康保険
  10. 後期高齢者医療保険
  11. 公的医療保険制度の仕組みとは?
  12. 医療費の財源
  13. 公的医療保険制度の問題点
  14. 高齢化による医療費負担構造の変化
  15. 収支バランスの悪化
  16. 国が取り組む医療保険制度の改革
  17. 公的医療保険制度を補完する民間の医療保険
  18. まとめ

医療保険制度とは?

医療保険制度とは相互扶助の精神に基づき、病気やケガなどの事態に備えてあらかじめ保険料を出し合い、実際に医療を受けなければならなくなった場合に、出し合っていた保険料を医療費の支払いの一部に充てる仕組みです。

冒頭でも触れたように、医療費負担は原則3割以下(1割~3割)であり、残りはご自身が加入している医療保険から支払いが行われます。

日本の医療保険制度は全国民が保険に加入する「国民皆保険」と呼ばれるものですが、この状態が実現したのはちょうど半世紀前の1961年のことです。

国民皆保険が実現するまでは、国民のおよそ3分の1が公的医療保険に未加入の状態であり、日本の社会保障上の大きな課題となっていました。

1958年に「国民健康保険法」が制定され、そこから3年を経て「国民皆保険」の制度が実現したのです。

日本の公的医療保険制度の特徴を解説!

日本の公的医療保険制度は、「社会保障制度」の中の「社会保険」のひとつに位置付けられています。

社会保障制度は、すべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営めるようにすることを目的に、1950年に整備された制度で、「社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「保健医療・公衆衛生」の4つから成っています。

社会保障制度が人々の生活を生涯にわたって支えるものであることから、その要素である公的医療保険制度も、我々の生活に必要不可欠なものであることが分かります。

以下では、日本の公的医療保険制度の特徴について説明します。

対象者は全国民の「国民皆保険」

上でも少し触れましたが、日本の医療保険制度はすべての人が何らかの公的医療保険に加入し、全国民が保険料を支払うことで、医療を受けなければならなくなった際のお互いの負担を軽減する「国民皆保険制度」です。

持病があって定期的に病院に通わなければならない人や、交通事故などで大がかりな手術を受けなければならないような方でも、この制度のおかげで一定の医療費負担で医療を受けることができます。

日本に住んでいる限り、「何らかの公的医療保険に加入する」ということは当たり前のように思えるかもしれませんが、国民皆保険制度が導入されていない国も多々あります。

私たちが安価な負担できちんとした医療を受けることができているのは、国民皆保険の賜物ともいえます。

医療機関を選べるフリーアクセス

私たちは病院にかかるとき、家からの距離や専門分野・ネット上などでの評判などを参考にして病院を選びます。

このように医療機関や医師を自分で選ぶことができるシステムのことを「フリーアクセス」と呼びます。

日本に住んで日本で医療を受けている限りはごく当たり前なことですが、諸外国では登録された医療機関でないと診察してもらえない国もあります。

自分の意思で受診する病院および医師を選ぶことができるというのは、日本の公的医療保険制度の大きなメリットなのです。

原則3割負担の安価な医療費

診療を受ける際に保険証を持っていると、医療費負担が原則3割になることも、大きな特徴です。

「原則」3割というのは、年齢によって負担する医療費の割合が異なるからで、年齢による医療費負担の割合は以下のようになっています。

  • 6歳未満(義務教育就学前):2割負担
  • 6歳以上~70歳未満:3割負担
  • 70歳以上~75歳未満:2割負担(現役並の収入がある場合は3割負担)
  • 75歳以上:1割負担(現役並の収入がある場合は3割負担)

保険適用外の治療・診療に関してはこの限りではありませんが、医療費負担の上限が3割になっていることで、金銭的な負担をそこまで気にすることなく安心して治療を受けることができます。

現物(医療サービス)給付

我々は自己負担分の医療費を支払うことで、治療・手術・投薬などの医療行為を受けることができますが、このことを「現物(医療サービス)給付」と呼びます。

現物(医療サービス)給付にはいくつかの種類がありますが、その中の代表的なものについて以下で説明します。

療養の給付

病院に保険証を持っていくことで必要な医療を受けることができますが、医療を受けること自体が健康保険からの給付にあたり、これを「療養の給付」と呼びます。

医療費の負担は、上述したように原則3割であり、残りの医療費は医療保険から支払われます。

高額療養費制度

同一月(1日~月末)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、「自己負担限度額」と呼ばれる一定の金額を超過した金額に関しては、後日払い戻しを受けることができます。

自己負担限度額は被保険者の年齢および所得に応じて設定され、所得が多いほど自己負担限度額も大きくなります。

いくら3割負担であるとはいえ、入院や手術といった高額な出費を伴う医療行為を受けた場合、その出費は家計への大きな負担になりますが、後日払い戻しを受けることで支払いを実質的に一定金額までに抑えられるというのは、非常に大きなメリットです。

このほかにも、入院時食事療養費や入院時生活療養費・訪問看護療養費といった種々の給付を受けることが可能です。

宮川 真一
CFP®、税理士 / 宮川 真一

高額療養制度について、自己負担限度額を超えた額は後日払い戻しを受けるとはいえ、窓口でいったん1割から3割の自己負担額の支払いが必要となります。

事前に「限度額適用認定証」の交付を受けて、医療機関に提示すれば、自己負担限度額までの支払いで済ませることができます。

医療費が高額になると予想されるときは、「限度額適用認定」を申請することをおすすめします。

公的医療保険制度の種類

ここまで、日本の公的医療保険制度の特徴を紹介してきましたが、日本国民が加入できる医療保険には、大きく分けて「被用者保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療保険」の3種類があります。

医療保険制度の種類

それぞれの医療保険制度について、以下で説明します。

被用者保険

被用者保険とは、サラリーマンのように企業に勤めている方、およびその扶養家族を対象にした保険です。

被用者保険は、主に以下の3つに分類されます。

健康保険組合

健康保険組合は、主に大企業を中心に自前で設立している組合です。

大企業が中心というのは、健康保険組合を単独の企業が設立する場合には、事業所で働いている被保険者が常時700人以上必要で、複数の会社が共同で設立する場合には、事業所で働いている被保険者が合計で常時3,000人以上必要だからです。

そのため、健康保険組合が運営している被用者保険に加入しているのは、大企業およびそのグループ会社や子会社に勤めている方およびその扶養家族が中心となります。

協会けんぽ

協会けんぽは、全国健康保険協会という団体によって運営されています。

自前で健康保険組合がない中小企業の従業員の方およびその扶養家族が、主に加入しています。

共済組合

共済組合は、公務員および私立学校の教職員を対象にした社会保険組合です。

加入する方の属性が異なるだけで、この3つの被用者保険の仕組みは基本的に同じです。

国民健康保険

国民健康保険は、都道府県が運営する医療保険制度です。 

自営業・フリーランス・無職の方など、被用者保険の対象ではない方が加入します。

保険料は世帯ごとの収入や世帯人数などに応じて算出されますが、お住まいの都道府県によって保険料の金額は異なります。

被用者保険と比べると少し保障が手薄な部分もあるので、必要に応じて民間の医療保険などでカバーする必要があります。

後期高齢者医療保険

後期高齢者医療保険は75歳以上、または65歳以上で一定の障がいがあり申請により広域連合の認定を受けた方が加入する、公的医療保険制度です。

「原則3割負担の安価な医療費」のところでも触れましたが、後期高齢者医療保険に加入している場合は医療費の負担が1割となります(※)。

勤めていた企業を退職した場合は、一度国民健康保険に加入し、75歳になってから後期高齢者医療保険に加入することになります。

(※)現役並の収入がある場合は3割負担

公的医療保険制度の仕組みとは?

医療保険の仕組みをイメージしたイラスト

前述したとおり、公的医療保険制度では、診療を受けた際の医療費負担は原則3割で済みます。

つまり、仮に診療に6,000円がかかっていたとしても、支払う金額は3割の1,800円だけということです。

残りの4,200円がどのように支払われているかを把握するためには、公的医療保険制度の仕組みを知っておく必要があります。

公的医療保険制度の仕組みに関わるのは、被保険者(患者)保険者医療機関審査支払機関の4者です。 

保険者とは、全国健康保険協会や健康保険組合といった健康保険事業の運営主体のことを指します。

被保険者は、保険者に毎月保険料を支払うことで保険に加入しており、医療費負担を原則3割に抑えることができます。

残りの7割の医療費に関しては、医療機関が審査支払機関に請求を行い、審査支払機関は保険者に請求を行います。

そして、保険者が審査支払機関に支払いを行い、審査支払機関による審査を経て医療機関に支払われます。

このように、被保険者である患者から3割、保険者から7割の医療費が支払われることによって、医療機関は適切な医療費を受け取ることができているのです。

医療費の財源

日本全体で1年間に医療費として支払われる金額は莫大ですが、その財源はどうなっているのかも気になるところでしょう。

医療費の財源を負担の大きい順に挙げていくと、各医療保険制度において被保険者と事業主が支払う保険料(約50%)、国庫負担金および地方公共団体の負担金である公費(約38%)、患者の自己負担額(約12%)となっています(※)。

つまり日本の公的医療保険制度は、保険料収入によって運営される社会保険方式をベースとしつつも、実際のところは公費も財源として投入されているため、「社会保険方式+税金」でまかなわれていることになります。

(※)出典: 厚生労働省「平成29年度 国民医療費の概況

公的医療保険制度の問題点

日本の公的医療保険制度は、数多くのメリットを備えた素晴らしい制度です。

ただし現在、公的医療保険制度を巡ってはいくつかの問題点が指摘されており、それに伴い医療制度改革の必要性も叫ばれています。

公的医療保険制度の問題点について、以下で説明します。

高齢化による医療費負担構造の変化

日本人の平均寿命は伸び続けており、現在はいわゆる「超高齢化社会」になっています。

一般的に高齢者は、病気にかかるリスクが若い世代より高いですし、症状が慢性化・複合化しやすい傾向にあります。

そのため、高齢者にかかる医療費は若い世代にかかる医療費よりも、必然的に増えることになります。

現在の公的医療保険制度の骨格が形作られたころの日本は、現在ほどの超高齢化社会ではありませんでした。

社会の高齢化が進展したことにより医療費の負担構造が変化し、その結果、公的医療保険制度のシステムそのものに大きな影響を与えているのです。

収支バランスの悪化

公的医療保険制度は、「保険料+患者の自己負担≧医療費」でなければ継続できない制度ですが、近年収支バランスが悪化しており、徐々に「保険料+患者の自己負担≦医療費」の状態になってきてしまっています。

医療保険の収支バランスをイメージしたイラスト

収支バランスが悪化した理由としてまず考えられるのは、医療費の増加です。

上述したように、高齢化社会が進展したことによってより多くの医療が必要になったことに加えて、医療技術がより高度になったことにより、医療行為の単価が上がってきているのです。

そしてもう一つは、保険料の減収です。

国民皆保険制度が成立したころの日本は、経済的な成長の真っ只中で雇用も安定しており、十分な保険料を確保することができていました。

しかし、バブル崩壊以降の日本は経済的に不安定であり、正規雇用者の割合の減少や労働者人口自体の減少によって、保険料収入が減ってきてしまっています。

医療費が増加しているのにも関わらず保険料が減収してしまっていることで、収支バランスが悪化してしまっているのです。

宮川 真一
CFP®、税理士 / 宮川 真一

収支バランスを改善するため、医療に対して保険適用の範囲を狭くして医療費の増加を防げば良いのではないかという意見もあります。

そうすると、保険適用の診療と保険適用外の診療を併用する「混合診療」につながります。

混合診療では、保険適用外の診療が高額となり、貧しい人や医療保険に加入していない人が保険適用外の診療を受けられなくなるという事態が想定されます。

国が取り組む医療保険制度の改革

現状の医療保険制度に問題点が指摘されており、このままの状態が続けば医療保険制度が破たんしてしまう可能性があることから、国も医療保険制度の改革に乗り出しています。

国民健康保険に対しての財政支援を拡充したり、これまでは各市町村が主体だった国民健康保険の運営を各都道府県に移管することで制度の安定化を図ったりと、その改革内容は多岐にわたります。

また同時に、被用者保険や国民健康保険における保険料負担の公平化や、医療費適正化計画の見直しなども進めています。

宮川 真一
CFP®、税理士 / 宮川 真一

公的医療保険制度改革により、今後、制度がどう改正されていくか、注視が必要です。

そして改正により、ご自身やご家族がどういう状況になり、どういう対応が必要か検討することが大切です。

公的医療保険制度を補完する民間の医療保険

公的医療保険制度は医療に関する経済的な負担の軽減を幅広くカバーしてくれていますが、それでもすべてをカバーしきれているわけではありません。

公的医療保険制度でカバーしきれない部分を補完するためには、民間の医療保険制度を利用するのがおすすめです。

民間の医療保険はさまざまな種類の商品の中から、自分が必要だと思う内容が含まれているものを選んで利用することができます。

民間の医療保険に含まれていることの多い入院給付金や手術給付金などは、公的医療保険制度ではカバーしきれない部分をカバーするのに、うまく機能してくれるでしょう。

また、民間の医療保険では特約という形で、個々人に必要なオプションを付加することもできます。

がん・脳卒中・急性心筋梗塞の三大疾病に罹患した際に給付金を受け取ることができる「三大疾病特約」や、通常の保険ではカバーできない範囲の先進医療を対象にした「先進医療特約」など、その内容は多岐にわたります。

自分の病歴や体の状態と相談して、必要だと思われる民間の医療保険およびその特約を利用するとよいでしょう。

Total Life Designでは、トータルライフデザイナーが一人ひとりのお客様に寄り添い、最適な保険商品の選択をサポートしています。

保険選びに不安がある方は、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

宮川 真一
CFP®、税理士 / 宮川 真一

1つの選択肢になる民間の医療保険ですが、複雑・多岐にわたる上に、定期的な見直しも必要です。

ご自身だけでは分からない場合、安心して相談できるプロを見つけることも大切になってくるでしょう。

まとめ

日本の公的医療保険制度は、世界的に見ても優れている非常に素晴らしい制度であり、病気などで医者にかかった際にはそのありがたみを感じることができます。

ただし、現代とは異なる社会情勢・時代背景において構築された公的医療保険制度のシステムは、高齢化の進展や収支バランスの悪化などにより、深刻な問題点を抱えてもいます。

また、公的医療保険制度だけで医療費に関わるすべてをカバーしきれるわけではありません。

公的医療保険制度でカバーしきれない部分をカバーするためには、民間の医療保険の中から自分に必要だと思われる内容が含まれているものを選んで利用するのがおすすめです。

この記事を監修している専門家
  • 宮川 真一
    CFP®、税理士 宮川 真一 宮川 真一の詳細はこちら

    岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。 現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。 あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。